アンケート調査リリースとは?5つのメリットと実施方法
調査リリースは、企業やブランドの認知度を高めるための広報PR手法として、多くの企業で採用されています。事業や商品に関連するテーマで調査を実施し、それをプレスリリースとして発表することで、メディアに取り上げられたり、SNSで拡散されたりする効果が期待できます。
形のある製品(モノ)ではなく、形のないサービス(コト)を提供している企業(例:コンサルティング業など)にとって、調査リリースは認知度向上に非常に有効な施策です。
しかし、「どのように進めれば良いのか?」「誰に、どうやってアンケートを実施すれば良いのか?」といった疑問から、興味があるものの手を付けられていない企業も多いのではないでしょうか?
この記事では、調査リリースの概要やメリット、そして実施方法について詳しく解説します。
目次
■アンケート調査リリースとは?
調査リリースとは、企業が独自に行った調査結果をプレスリリースとして発表する広報PRの手法です。新商品の発売や新サービス開始に合わせて、関連するテーマで調査結果を発表したり、企業としての姿勢を伝えるために社会課題に関する調査結果を発信したりするなど、さまざまな活用方法があります。
世の中の時流に合ったテーマ、興味を引くテーマで行った調査のプレスリリースは、さまざまなメディアに掲載され、その情報提供元として企業名やブランド名が紹介されるため、認知度を高める効果があります。
■調査リリースを配信する5つのメリット
次に、調査リリースを配信するメリットを5つご紹介します。
メリット1:メディアに掲載・転載されやすい
調査リリースがメディアに取り上げられやすい理由として、主に以下の2点が挙げられます。
- ニュース性が高い
メディアは常に読者や視聴者の関心を引くニュースを探しています。時流に合ったテーマで実施されたアンケート調査は、メディアにとって魅力的なコンテンツとなります。 - 客観性がある
調査リリースは、一定数以上の対象者に対して質問し、その回答を基に集計・分析したデータを提供します。これにより、客観性や信頼性が高く、データに裏付けられた情報はメディアにとって記事にしやすい情報源となります。
メリット2:企業認知度を向上させる
自社で実施したアンケート調査がメディアで取り上げられる際には、調査元として必ず社名が掲載されます。通常、調査リリースは自社の事業と関連のあるテーマで行われるため、事業内容や専門性をアピールする絶好の機会です。例えば、その分野のエキスパートである自社社員のコメントを調査結果に加えることで、事業の認知度や専門性の高さを示し、ブランドイメージの向上にも繋がります。
メリット3:ニュースがない時のネタ作りに最適
大手企業は頻繁に新商品や新サービスを発表できるかもしれませんが、そうでない企業も少なくありません。広報活動を続けるには、ニュースがないときでもネタを創り出す必要があります。その際、アンケート調査は説得力のある広報コンテンツとして活用できます。客観的なデータに基づいた調査結果は、消費者の信頼を得やすく、ニュース性の高い情報となります。
メリット4:マーケティングや営業にも活用できる
調査リリースは広報だけでなく、マーケティングや営業活動にも役立ちます。広報目的の質問に加えて、マーケティング的に収集したい情報を得るための設問を追加することで、貴重なデータが得られます。また、営業用の資料に調査結果のグラフを裏付けデータとして活用したり、セミナーや講演で紹介することで、説得力のあるプレゼンテーションが可能になります。
メリット5:SEO効果が見込める
調査リリースを自社サイトに掲載することで、検索エンジンの評価が向上し、サイトの検索順位が上がる可能性があります。このSEO効果はしばしば見過ごされがちですが、非常に大きなメリットです。SEO効果を高めるポイントは6つありますが、詳細については後半で改めてご紹介します。
■アンケート調査の実施方法
具体的に、どのようにアンケート調査を実施するのか説明します。
STEP1:テーマを決める
まずは、何に関するアンケート調査を行うかテーマを決めます。以下のポイントを参考に検討します。
- 自社の事業と関連性があるか
- どのようなメディアに掲載してほしいか(どのような人たちに読んでほしいか)
- テーマに話題性があるか(時流・季節に合っているか)
- 既に類似のアンケート調査が多数配信されていないか
- 自社にとってプラスになる結果が導き出せそうか
STEP2:実施方法を決める
アンケート調査を自社で行うのか、アンケート調査会社を利用するのかを決めます。それぞれのメリット・デメリットを考慮して選択します。
メリット:費用がかからない、独自性の高い内容にできる
デメリット:労力がかかる(関係各所への調整、対象者への告知、アンケートフォームの準備、実施・集計など)
メリット:実施がスムーズ(調査会社が対象者を集め、調査の設定・実施を代行してくれる)
デメリット:費用がかかる
<アンケート調査会社(例)>
● アンケート調査を実施する会社は多数ありますが、弊社では以下の3社をよく活用します。
・ GMOリサーチ&AI
・ クロス・マーケティング
・ アイブリッジ(Freeasy)※低コストでできるセルフ型アンケートツール
● 日本経済新聞が提供するビジネスコンテンツ検索サービス「NIKKEI COMPASS」にも、リサーチ・調査会社のリストが掲載されています。
● 日本経済新聞が提供するビジネスコンテンツ検索サービス「NIKKEI COMPASS」にも、リサーチ・調査会社のリストが掲載されています。
STEP3:アンケート調査のサンプル数を決める
サンプル数(回答者数)は、メディア露出を考えた場合、ニュース性があれば100件でも問題ありません。
よりデータとしての精度を高めたい場合、サンプル数「400件」が一つの目安と言われています。(誤差が5%程度になるため)
また、クロス集計して様々な角度から分析したい場合は、母数が少ないと細かく分けたときのサンプル数が少なくなってしまうので、ある程度の母数を確保しておくことをお勧めします。
ネット調査会社を利用する場合、サンプル数に関して事前に相談すると、よいアドバイスがもらえると思います。
STEP4:アンケート調査結果の集計
アンケート調査の結果が出たら、データを加工して表やグラフを作成します。
アンケート調査会社の中には、発注すれば、表・グラフ作成や分析まで行ってくれるところもあります。
■アンケート調査リリースの書き方
アンケート調査の結果が出たら、いよいよアンケート調査のプレスリリースを作成します。いきなりリリースに着手するのではなく、表やグラフを基に結果の分析を行い、どのような流れにするか、どの項目を強調するかなど、事前にある程度イメージしてから作り始めることをお勧めします。
まず、イメージしていただきやすいようにアンケート調査リリースの構成を掲載します。
- タイトル、サブタイトル
調査リリースにおいて、タイトルは大変重要です。最も重要と言っても過言ではありません。なぜなら、タイトルで興味をもってもらえなければ、肝心の調査内容が読まれないからです。
調査結果の中から、最もインパクトのあるデータを引用し、「もっと詳しく知りたい!」という興味喚起につながるようなタイトルとサブタイトルを考えます。 - リード文(調査の目的・背景)
リード文で、調査を実施した目的や背景などを簡単に記載します。目的や背景を省略し、いきなり「○○に関するアンケート調査を実施したので発表します。」としてしまっても問題はありませんが、目的や背景などが記載されていた方が、説得力が増します。 - 調査概要
リード文の下に、調査概要を記載します。調査概要とは以下のようなものです。- 調査名:アンケート調査の正式名称を記載します。
- 対象者:どのような人を対象にアンケートを実施したのか、属性などを記載します。
- 調査方法:自社調査か外部調査会社を利用した調査か、方法は何か(インターネット、質問票を郵送など)を記載します。
- 調査期間:いつからいつまでの期間で実施したのかを記載します。
- 有効回答数:アンケート調査の対象者数(配布数)や有効回答数を記載します。
- 調査結果のポイント、サマリー
アンケート調査のプレスリリースはボリュームが多いので、読み込むのに時間がかかります。特にメディアの記者・編集者は多忙なため、調査のポイントを瞬時に把握したいと考えます。そこで、最初のページに調査結果のポイントやサマリーを入れておくことで、短時間で内容を伝え、「より詳しく読んでみたい」という興味喚起につなげます。
<サマリー作成のポイント>- 伝えたいことを明確に
調査結果の中で、特に伝えたいところ、興味深い結果となったところをいくつかピックアップします。 - 適度な文章量で
紹介文は、1項目あたり1行~数行で簡潔に紹介します。
- 伝えたいことを明確に
<サマリー作成の例>(イメージ)
調査タイトル
「20代女性の『理想の結婚相手』に関する意識調査」
サマリー
20代女性の約8割が「結婚したい」と考えている
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最も重視する結婚相手の条件は「経済力」
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結婚相手に求める年収は平均700万円
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理想の家族構成は「夫婦+子ども2人」
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結婚生活で最も重要視する要素は「愛情」
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5.調査結果の解説
調査結果が一目でわかる表やグラフを挿入し、解説を入れていきます。
- <グラフについて>
グラフは、見やすいカラー・デザインで。また結果の数値やn数*もしっかり見えるように作成します。
*n数:サンプル数のことです。例えば、全体で100人にとったアンケートでも、「はいと答えた人だけお答えください」といった、更に分岐した設問を作成した場合、回答者数が変わってきますので、グラフごとにn数も入れると間違いが起こりません。
リリースの画像をそのまま掲載するメディアも多いですので、グラフの画像が粗かったり、数字などが見にくかったりすると、それが原因でメディア露出数が減ることもあります。
また、単数回答と複数回答でグラフの見せ方も変わりますので、注意が必要です。 - <解説について>
アンケート調査の解説は、主観は交えず、データに基づく客観的な分析を簡潔な文章で記載していきます。
主観的な表現・感情的な表現(例:○○だと思う。○○という素晴らしい結果だ)は避けましょう。
また、アンケート内容に注目してもらおうと、誤解を招くような表現、大げさでセンセーショナルな表現などを使うことも避けましょう。
正確かつ中立的な表現を心がけることで、情報の信頼性を高めることができます。
6.総括
設問の解説が終わったら、最後に総括を入れます。総括とはその意味の通り、全体を締めくくるものです。
- <内容に精通した人がコメントするケース>
調査結果の解説では、個々の設問に関して解説しましたが、全体を通して見ることでわかってくる傾向などがあるはずです。そういった全体を取りまとめた解説や、各設問では入れられなかった所感や見解なども、総括なら入れることができます。
ただし、総括の内容に説得力を持たせるには、やはりその分野に関する知見を持った人にコメントしてもらうのが効果的です。
例えば、社長・役員や、アンケート調査内容に関連する事業を行っている部門の担当部長・マネージャーなどです。 - <社外の専門家・有識者がコメントするケース>
アンケート調査の結果について、社外の専門家や有識者になどにコメントしてもらうと、より効果的です。専門家の客観的な意見を引用することで、調査結果や分析の説得力を更に高めることができます。
7.会社概要、問合せ先
通常のプレスリリースと同様に、会社概要と問合せ先を記載します。
問合せ先は、アンケート調査の内容に関する質問にも答えられる人を入れておくことが望ましいです。
■まとめ
アンケート調査リリースは、最終的に自社の広報PRにつなげる目的であっても、自社の商品やサービスを直接アピールするものではなく、読み手にとって役立つ情報、興味深い情報を提供するものです。
自社に有利な結果になるように無理に誘導したり、明らかに自社商品のPRになる項目だけを紹介したりする調査リリースは、その意図が伝わりメディアに取り上げられないだけでなく、読む人に抵抗感を持たせることとなり、逆効果です。
あくまでも読み手の役に立つ情報を提供することを意識して配信することが重要です。
◆アンケート調査リリースによるSEO効果
アンケート調査リリースが、SEO効果につながるポイントを6つご紹介します。
- ポイント➀ バックリンクを獲得できる
調査リリースがニュースサイトやブログで取り上げられると、その記事から自社サイトへのバックリンクを得られます。質の高いバックリンクは、検索順位上昇につながります。バックリンク獲得はSEO対策の中でもかなり難易度が高く、特に信頼性の高い良質なコンテンツを持ったサイトからのバックリンクを得ることはほぼ不可能と言っても過言ではありません。しかし、調査リリースではこのバックリンクをかなりの数、獲得ができる可能性があります。 - ポイント② アクセス数が増える
調査リリースが様々なメディアやブログ等に引用されることで、そこからのアクセスが見込めます。アクセス数の多いサイトは検索順位が上がることが分かっています。 - ポイント➂ 独自コンテンツを得られる
調査リリースによるコンテンツは、新規の独自性のあるコンテンツです。検索エンジンは新しい情報や内容を重視するため、独自の調査データをサイトに掲載することでオリジナルコンテンツとして高い評価を得やすいと考えられます。 - ポイント④ キーワード最適化
調査リリース内に自社の業界やサービスに関連するキーワードを含めることで、そのリリースが検索エンジンで上位に表示される可能性が高まります。これにより、該当キーワードで検索するユーザーの目に触れやすくなります。 - ポイント⑤ ブランド認知度の向上
調査リリースが広く配信されることで、企業やブランドの認知が高まり、結果として、企業名やブランドに関する検索が増加する可能性があります。 - ポイント⑥ SNSでの拡散
調査リリースは様々なメディアやSNSに引用・紹介されやすいため、そこからのバックリンクと更なるトラフィックを生み出し、サイトへの訪問者が増加します。これが結果的に、検索エンジンでの評価向上につながります。