広報PRの効果と、目標設定
広報PRとはで説明しているとおり、広報PRは単に認知度を上げるためだけでなく、社会の人々との信頼関係を築くために行う活動です。継続的な情報発信、社会への働きかけをしていくことで、様々な波及効果が起こります。
ファン獲得
社名や商品・サービスが認知されるだけでなく、「よい会社」「信頼できる会社」といった認識がされることで、最終的に多くのファン獲得につながります。一度ファンになった顧客・消費者は、困難な時も応援してくれる力強いサポーターになります。
売り上げの拡大
認知度がアップし、ファンが増加すれば、当然のことながら売上が拡大します。メディアなどに取り上げられる回数が増えれば営業活動もしやすくなりますし、リピート客が増えることで広告宣伝費の削減にもつながります。
社内の活性化
自社やその商品・サービスに対する評価が高まったり、メディア露出が増加したりすることで、社員やその家族にも自社に対するロイヤリティが生まれます。社内が次第に活性化し、定着率やモチベーションアップ、業績向上にもつながります。
優秀な人材が採用できる
企業側からの積極的な情報発信により、その企業の理念や社風なども伝わるようになります。それにより、応募者が増加するだけでなく、その企業の社風に合った適切な人材が集まるようになり、新卒採用や中途採用もスムーズになります。
「広報PR活動をするのは大企業だけ」という誤解をしている企業もたくさんありますが、SNSや自社メディアなど、マスコミを通さなくても消費者に情報を伝えることができるようになった今、企業の規模にかかわらず、広報PRは必須の活動と言えます。知恵や工夫、継続性や根気は必要ですが、そこから得られる効果は絶大と言えるでしょう。
では、実際に広報PRに携わる場合、具体的にどのような目標を設定するのがよいでしょうか。
企業が広報PRに力を入れようとするとき、多くの場合は何かしらの課題を抱えています。上記であげた効果の裏返しで、「ある商品の売上が伸びない」「採用がうまくいかない」などです。
これをもう少し深堀してみましょう。ある商品の売上が伸びないから、これにテコ入れするプロジェクトを立ち上げると仮定しましょう。売上が伸びない原因として、どのようなものが考えられるでしょうか。この商品の認知度が低いから棚で手にとってもらえない、取り扱っている店舗が限られている、競合商品と比べて価格が高いなど、いくつかあげられると思います。それぞれの原因に対して対策をとる必要がありますが、広報PR部門と営業部門、マーケティング部門など、関連部署で横断的に取り組みます。
このプロジェクトでは、広報PRが取り組むテーマ(ゴール)は「この商品の認知度をあげる」になりますから、次に、これを達成するための活動内容を考えます。ここでは、以下を行うと決めたとします。
- マスメディアでのパブリシティ
- ホームページでの情報提供とキャンペーンの実施
- SNSでの情報発信と、ホームページへの誘導
広報活動を行うにあたって、大切なのはまず現状を把握することです。上記の活動に関して、現状を測定できる方法を考えてみましょう。あまり主観が入らずに客観的に測定できるものが望ましいです。
- パブリシティ:過去掲載された記事の数、媒体、記事の内容
- ホームページ:アクセス数、アクセスされたページ数、滞在時間、直帰率
- SNS:フォロワー数、エンゲージメント(リツイート数や「いいね」の数など)
これで、テーマの設定、活動内容、現状把握の方法が決まりました。次にすべきは、現状を測定して今どんな状態にあるのかを把握し、その上で到達すべき状態を目標として定めます。
パブリシティ:
1) この商品の購買層が一番読んでいるB新聞と、ビジネス誌CとDで記事を書いてもらう
2) 全国で販売する商品だから、通信社Eに取り上げてもらうことで地方新聞に記事を掲載してもらう
3) 購買層が車通勤時に聞いているラジオ番組Fにとりあげてもらう
4) ホームページにアクセスしてもらうために、ウェブメディアGやHにとりあげてもらう
ホームページ:
5) 商品特設サイトを開設して月間50万アクセスを目標にする
6) そのページからの直帰率を50%以下に抑える
SNS:
7) Twitterのフォロー&リツイートキャンペーンで、フォロワー数を50,000にする
8) Instagramの投稿キャンペーンで、フォロワー数を30,000にする
上記のような指標が、KPI (Key Performance Indicator)と呼ばれるものです。ホームページやSNSでは、指標の種類はある程度決まっていて、どれぐらいの値を目標値として設定するかは各企業が決めます。パブリシティについては、「広告換算」という指標があって、掲載された記事や放映された番組の時間数を、仮に広告で露出したとしたらどれぐらいの広告費が必要だったかを示します。活動結果報告ではよく用いられますが、プロジェクトの計画時に目標として設定するのは、「適切な媒体でどれぐらいの記事が掲載されるか」の方が活動しやすいでしょう。
一連のプロセスを図にすると、上のようになります。テーマの設定から現状把握、今後の活動内容、目標値をまとめたものがPRプラン(あるいは「〇〇年度・広報戦略」など)と呼ばれるものです。実際には、これらの活動に付随して発生する予算も重要な内容として入ってきます。
一連の活動の結果、目標数値は達成できたか、どんな課題があったかを振り返って関係者で共有し、次に取り組むべき課題は何かを全員で確認してプロジェクトが完了します。
アネティは、それぞれの企業様のニーズに応じて、パートナーとしてコミュニケーション活動を支援いたします。現状把握や計画の段階から、実施後の効果測定まで関わらせていただくこともあれば、実施フェーズでのパブリシティ活動やデジタルツールでの発信を担当することもあります。広報PR業務でお困りのことがありましたらお気軽にお問合せください。
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